FUJIFILM X100S
西粟倉村、百年の森に佇むお地蔵さん。かつてこの地は鑪があった場所。当時の人々は製鉄の為に大量の木を切ったと言われている。そして事実、岡山県は三大ハゲ山県の不名誉な称号を与えられた時期があった。恐らく当時の西粟倉村ではヒメボタルは限られた場所でひっそりと棲息していたに違いない。しかし、八幡製鉄所が出来て鑪は姿を消し、1960年代のエネルギー革命以降は森林の再生が少しずつ進んできたのだと思う。そしてまた、人工林に於いてはスギやヒノキの落ち葉が堆積し、適度な湿度が保たれるようになった。その為にヒメボタルの餌となる貝類が生息しやすい環境になった。それだけでなく、現場に放置された間伐材が朽ちてくることで貝類の格好のえさ場となったのは間違いないだろう。そういった時代的背景をきっかけにして西粟倉村のヒメボタルは徐々に数を増やし、今日に至ったのだと思う。鑪で生業を立てていた人たちはもう此処にはいない。その代わり、夏の夜になるとこうやって林床をホタルが乱舞するのだからお地蔵さんはちっとも寂しい思いをしていないのかも知れない。