FUJIFILM X-T3 HANDS ON|富士フイルム×東京カメラ部

Vol.2

東京カメラ部10選2012 千田智康 × FUJIFILM X-T3

スナップ、風景、ポートレートなど、ジャンルを問わず、目にする光景を独自の目線で切り取る千田智康さん。さまざまなXシリーズのモニター体験を通してその色の良さに惹かれた千田さんは、機動性に優れ、画面全域を位相差AFエリアでカバーしたX-T3を、満を持して主力機として導入した。X-T3を手にしたことで、撮影がどのように変化したのかを伺った。

Interview Vol.2 千田智康

──数あるXシリーズの中からX-T3を選んだ理由を教えてください。

これまでに、X30、X-T10、X-T2、X-H1と、かなりの数のXシリーズの機材を写真教室やモニターで使ってきました。クラシッククロームの色味が好きで、いつかは購入したいなと思っていたのですが、マイクロフォーサーズやフルサイズも使っており、買い足しは控えていたのです。しかし、全面位相差AFとなり低照度AFの精度も上がったX-T3に惹かれました。また、Xシリーズ用レンズの購入しやすい価格設定も後押しになり、X-T3が発売されてすぐに踏ん切りを付けて購入しました。レンズはXF16mmF1.4 R WR、XF35mmF1.4 R、XF56mmF1.2 R APDの3本。素晴らしくコストパフォーマンスが高いシステムだと実感しています。

Interview Vol.2 千田智康

使用機材: FUJIFILM X-T3
+ XF16mmF1.4 R WR

X-T3を購入してすぐに撮影した、元日の江ノ島ですね。富士山が見えています。初日の出ではなく初夕暮れ。サーファーがポツンと佇んでいるところも好きですし、空の色、砂浜の反射などもキレイで気に入っています。こういう色がしっかりと出て欲しい場面ではフィルムシミュレーションの「ASTIA」が似合いますよね。撮ったままの色がとにかく素晴らしいので、最小限の微調整で済みます。RAWでも撮影しますが、JPEGからの微調整で済むことも多いです。フィルムシミュレーションは風景ではASTIA、ポートレートではETERNA、スナップではクラシッククロームとACROS。これが僕の定番ですね。

──露出モードは何をお使いでしょう。

この時はマニュアル露出ですね。背面液晶モニターで明るさを確認しながら微調整をしますが、アンダー露出であれば後から明るさを起こせるという判断をすることもあります。連写はしておらず、波が引いた瞬間に狙いを定めています。

Interview Vol.2 千田智康

使用機材: FUJIFILM X-T3
+ XF16mmF1.4 R WR

続いてもXF16mmF1.4 R WRを使っています。見ての通りすごい雲だったので、それを写真に残したいなと思いました。彩度を上げることなく、ドラマチックに写せました。X-T3の色の再現性はやはり素晴らしいです。嫌味のない、でも色乗り豊かな写真が撮れますね。

Interview Vol.2 千田智康

使用機材: FUJIFILM X-T3
+ XF23mmF1.4 R

──続いてはスナップです。

国道駅を下車してすぐのアーケードですね。楽しそうに歩く家族のシルエットが出ればいいなと思いシャッターを切りました。コントラストが強いシーンだったので、EVFを覗きながら露出設定を変え、適切な明るさを見つけていきました。少しハイライトが飛んだかな?と思いましたが、ちゃんと残っていて良かったです。こういうスナップを撮る時は、上下左右、常に人の動きを観察しながら集中して撮ります。AFモードは「ワイド/トラッキング」を基本にしていますが、花の前ボケを作ったポートレートなどでなければ、狙いたい場所をしっかりと認識して捉えてくれます。この写真は、お借りしたXF23mmF1.4 Rで撮影しました。

Interview Vol.2 千田智康

使用機材: FUJIFILM X-T3
+ XF8-16mmF2.8 R LM WR

構図を決めて人待ちをした1枚ですね。この時はマニュアルフォーカスに切り替えて、人が通って欲しいと思っている奥に置きピンをしました。そうそう、この時に手ブレ補正がレンズにもカメラにも搭載されていないことを思い出しました。僕が所有する他の機材には手ブレ補正が搭載されていますが、X-T3の場合はこの暗さならいけるかとか、撮ることに集中する楽しみもあるんです。写真は身体で撮るという原点のようなものが味わえるのもいいものですよね。撮れていたものが撮れなくなったら、そこから年齢を感じるみたいな(笑)。

Interview Vol.2 千田智康

使用機材: FUJIFILM X-T3
+ XF35mmF1.4 R

──桜が美しいポートレートですね。

XF35mmF1.4 RとETERNAの組み合わせは、やわらかい雰囲気で撮ることができるので大好き。ポートレートにとても重宝します。RAWはETERNAで撮ったJPEGと比較すると彩度が高く出ます。JPEGからレタッチすることもあれば、JPEGを参考にしてRAW現像することもあり、これは後者で仕上げています。現像ソフトでハイライトと白レベルを下げたら、彩度を調整しなくても桜のきれいなピンクを表現できました。あとは、さらにふんわりさせるために明瞭度を下げ、霞を加える処理をしています。前ボケはキレイですし、ピント面はシャープに解像しています。これはAF-C+連写+顔認識で撮っていますが、きちんと滑り台を下りてくるモデルさんを追いかけてくれましたね。

Interview Vol.2 千田智康

使用機材: FUJIFILM X-T3
+ XF35mmF1.4 R

これは前ボケの美しさと、それに似合うモデルさんの表情が気に入っている1枚。ふんわりとやわらかくするために、現像ソフトで明瞭度を下げ、霞を加えて仕上げています。霞ませることで色がなくなったら意味がないですが、色乗りが良いためにきちんとピンクが残ってくれている点も、ETERNAの良さだと思っています。ピントが合ったところは緻密ですが、それ以外はやわらかく写るところが抜群です。

Interview Vol.2 千田智康

使用機材: FUJIFILM X-T3
+ XF35mmF1.4 R

──続いては少しテイストが違います。

モデルさんの衣装が赤だったので、青い背景でクールな表情を撮りたいなと。これもETERNAで撮影し、現像ソフトで後から粒子を乗せてビンテージ系のフィルターをかけています。瞳がシャープに写っていますね。

Interview Vol.2 千田智康

使用機材: FUJIFILM X-T3
+ XF35mmF1.4 R

──印象的な前ボケですね。

画面下の前ボケがかなりグルグルとしていて、とても気に入っています。3方向チルト式液晶を使って地面スレスレから撮りました。背面液晶が可動式であることは構図にこだわる僕にとっては必須です。X-T3は3方向チルト式液晶なので、縦で撮るときも構図が作りやすくとても重宝しています。

Interview Vol.2 千田智康

使用機材: FUJIFILM X-T3
+ XF16mmF1.4 R WR

背面液晶モニターをチルトさせ、ローアングルから撮っています。手すりの斜めと、モデルさんの身体の斜めが合う瞬間を狙いましたが、今だ、という時にAFもすぐに合い撮影できました。X-T3は、瞬時にやって来るシャッターチャンスを逃さない抜群のスピードを感じましたね。

Interview Vol.2 千田智康

使用機材: FUJIFILM X-T3
+ XF35mmF1.4 R

強い逆光で背景を白飛びさせていますが、それもまた表現になっているなと思います。逆光は輪郭がやわらかくなるのですごく好きで、激しい状況でも撮りたくなるんです。表情を優先した結果のハイキー。このくらいの逆光だとAFが迷うカメラが多いですが、X-T3はスムーズにフォーカシングしてくれました。

Interview Vol.2 千田智康

使用機材: FUJIFILM X-T3
+ XF35mmF1.4 R

ピンクの橋があるのは知っていて、ここで撮ろうとは思っていたのですが、偶然にもモデルさんもピンクの衣装を着てきてくれたため一体化して見える写真が撮れました。興奮して撮った1枚ですね。僕はこのような幾何学的なデザインのものを対角線に入れることが多く、作風的にも好みです。これもETERNAを使っていますが、光をやわらかく捉えていますし、ピンクも鮮やかに出ています。写真データが素晴らしいので、後処理は露光量とコントラストの微調整と、粒子をプラスしたぐらいしかしていません。

Interview Vol.2 千田智康

──X-T3をしばらく使ってみての感想はいかがでしょう。

とても気に入っています。特にAFのパフォーマンスの向上を実感しますね。低照度も強いですし、X-T2とは見た目ことほとんど変わっていませんが別物と言っていいでしょう。僕はクラシカルなデザインや機能美も好きなので、質感の良いシルバーのボディ、ダイヤル類、XF16mmF1.4 R WRのクラッチ操作なども気に入っていますね。ワイヤレス通信は撮影後の移動でよく使います。すぐにスマートフォンに転送し、写真加工アプリでレタッチした後、モデルさんにスピーディーに渡して喜んでもらったりしています。ちなみに、ファームアップもワイヤレス通信でできるんですよ。これは便利で驚きました。これからは、XF56mmF1.2 R APDをもっと活躍させたいと思っています。

さんの写真

東京カメラ部10選2012

千田智康 Tomoyasu Chida

岩手県水沢市(現:奥州市)出身、横浜市在住。
ふだん目にする光景を独自の目線でアーティスティックに、そしてドラマチックに表現。見た人がそれぞれにストーリーを思い描いて楽しめる写真を目指している。また、『最高の1枚を「撮る・仕上げる」で生み出す 超絶写真術』共著(インプレス)をはじめとするとカメラ専門誌の執筆や、家電量販店でのセミナーも行う。東京カメラ部10選2012

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X-T3

FUJIFILM X-T3

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