FUJIFILM GFX 50R HANDS ON|富士フイルム×東京カメラ部

Vol.2

東京カメラ部10選 2015 北川力三 × FUJIFILM GFX 50R

靄や霧などがモチーフの幻想的な風景や、鮮やかに色づく四季折々の風景など、日本の美しさを切り取り続けている写真家・北川力三さん。GFX 50Sは一度の使用でその解像感と階調の素晴らしさに触れ購入。今回は手持ち撮影に向くGFX 50Rと、北川さん待望だったというズームレンズ「GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR」の組み合わせで撮影した感想を伺った。

Interview Vol.2 北川力三

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR

──GFX 50Sは発売直後に購入されたそうですね。何が決め手になったのでしょう。

風景と向き合っていると、少しでもきれいに、画素数の高いカメラで残したいという気持ちになります。GFX 50S以前は中判デジタルカメラを経験したことはなかったのですが、どのような階調表現になるのか発表前から気になっており、一度使用した後にすぐに購入しました。ただ、僕は画角をものすごく気にするタイプで、単焦点レンズを使いトリミングをするという使い方はあまりしません。ですから、GF100-200mmF5.6 R LM OIS WRの発売は待望でした。もっと使うシーンが増えてくるはずです。

Interview Vol.2 北川力三

──GF100-200mmF5.6 R LM OIS WRもご購入済みということですか?

即注文でした(笑)。これまでは、ここぞ、という時にGFX 50Sと単焦点レンズ、または標準ズームレンズを取り出すという使い方でしたが、画角の選択肢がこのレンズで飛躍的に広がるので、入手せずにはいられませんでした。家に戻ってからトリミングする方法もあると思いますが、それよりも現場での取捨選択の判断を大事にしています。今回は三脚を使った風景写真、手持ちでの梅の写真を提出していますが、画角の選択が広がったことでさまざまな切り取り方ができたと思っています。誰が見てもわかりやすい風景ではなく、ごく一部分を切り取り、ここはどこ?というような写真が撮れるようになりましたね。

Interview Vol.2 北川力三

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR

──それでは写真を見ながらお話を伺っていきます。ものすごい岩場ですね。

この岩場で撮影したいと思っていたものの、GFX 50Rをお借りしている期間中はちょうど雨続きであまりにも天候が悪かったため、後日再撮影を行いました。これはその時の1枚になります。 せっかくのGFX 50Rが靄だらけだと申し訳ないなと。岩場のディテール再現はものすごい緻密ですよね。階調が豊かなのもわかります。まるで中国のような雰囲気ですが、日本のとある場所で個人的には日本最後の秘境だと思っている秘密の場所。僕は有名な撮影スポットで撮るのは好きではなく、人が撮っていない場所を目指すんです。これはRAWで撮り、現像ソフトで現像しています。XシリーズのRAWはJPEGに比べてあっさりとしていると思います。純正ソフトウェア「FUJIFILM X RAW STUDIO」を使い、PCとGFX 50RをUSBケーブルで繋ぐと、カメラの画像処理エンジンをPCのソフトウェア上で使用したRAW現像が行え、カメラでJPEG撮影したときと完全に一致したフィルムシミュレーションの色味になると聞いています。まだその方法は試していませんが、XシリーズのJPEGの色は最高なので、今後はその現像方法も視野に入れていこうかと思っています。

Interview Vol.2 北川力三

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR

──恐らく再撮影前、天候が優れなかったときの写真でしょうか。

靄がものすごいですよね。普段であればちょっと靄が酷すぎると敬遠していたかもしれないですが、GFX 50Rを使うと、この靄に包まれた岩肌も表現になるなという印象を持ちました。というのも、他のカメラの場合は単に画質が悪いと捉えられかねないほど霞んでしまうと思うんですが、画質の良いGFX 50Rの場合は、天候が影響していることがしっかりと伝わるはずだと。

Interview Vol.2 北川力三

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR

──同じ岩場ですが、手前の木にピントを合わせています。

本当は紅葉の季節などですと鮮やかな場所なのですが、靄と葉のない木の組み合わせもいいかなと思い撮りました。絞り値はF8ですが、中判デジタルカメラでセンサーサイズが大きいため、後ろの岩場はボケていますね。もっと違う絞り値でも撮りたかったのですが、すぐに靄が広がりホワイトアウトになってしまいました。結果的に主題と背景のバランスは気に入っていますね。雨は止みかけでしたが、なにせ靄をテーマに撮ることが多いので、防塵防滴であることはとても助かっています。

──靄の写真の専門家と言えるくらい靄のある写真を多く撮られていますが、その理由は?

いや、気付いたら増えていたんです。でも、さすがに靄を狙いには行くようになりました。よく、靄のある風景によくそこまで遭遇しますね、と言われますが、前日の天気を見ていたらだいたいわかってきます。

Interview Vol.2 北川力三

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR

早咲きの梅を探している最中に見つけた川です。正直、僕が普段撮っている風景写真と比べると、撮るレベルに達していない場所かなと思いますが、これはGFX 50Rだからこそ撮ろうと思い立った気がします。写真の見どころは、拡大表示すると見える、水面を叩く雨ですね。かなり緻密に描写されており、それが模様のように見えるところが気に入っています。この写真を撮った時に、もう今回は天気には見放されたから素直にテーマを「靄」にしようと(笑)。靄がかかった林の描写もいいですよね。

Interview Vol.2 北川力三

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR

──これも岩場に存在感がありますね。

これも同じように梅を探していたところ、ゴツゴツした岩を発見したので撮影しました。おもしろいところは、家でRAW現像をしていたら、下の方に鳥がたくさんいるのを発見したことですね。撮影中は全く気付いていませんでした。つまり、このGFX 50Rの解像度は人の眼を超えているということですよね。引き伸ばしプリントなどをしたときに発見されることがあったりするのでしょうね。

Interview Vol.2 北川力三

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR

──こちらもまさに「靄」です。

岩場のある川の奥の山で、かなり靄がかかっていたので、テーマに沿った写真になるかなと。これもGFX 50Rだから撮ってみようという気になった1枚ですね。雨が降っている中、ここまで葉が解像してくれるのは素晴らしいです。これも三脚を使い撮影していますが、やはり三脚使用の頻度は高いので、Fnボタンに2秒のセルフタイマーを割り当てて、ブレないように心掛けています。

──EVF、LCDの使い分けはいかがでしょうか。

三脚撮影の場合、構図を決定したらカメラにあまり触りたくないので、背面液晶モニターでタッチAFを行い、セルフタイマー2秒で撮影しています。電子水準器は表示させますが、あまり水平に気を取られてしまうと感覚的に良い構図を選択できなくなるので、あくまで基準としてくらいの使い方にしています。

Interview Vol.2 北川力三

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR

──一転して、ボケ味が豊かな梅の写真です。

GF100-200mmF5.6 R LM OIS WRはワイド端で0.6mまで近づけると知り、マクロレンズ的に使えるのでは思い、しだれ梅を真上から手持ちで撮っています。玉ボケの中のピンクは散った花びらたち。緑の草もピンクの中で映えていると思います。GFX 50Rは絞り込んで使う方が多い気がするんですね。このようなかわいらしい写真を撮る人は少ないと思うので、そういう面でもおもしろいかなと。僕自身、絞り込んだ風景写真も撮れば、ボケ味のある花の写真を撮ることもあり、両極端なんですが、どうせなら1台のカメラとレンズでどちらも撮れた方がいいですよね。5140万画素のカメラを手持ちで使うのはなかなか怖いですが、約5段分もの手振れ補正がレンズに搭載されているので安心して使えました。

Interview Vol.2 北川力三

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR

──さらにとろけるようなボケが感じられる1枚ですね。

こちらもしだれ梅ですね。なるべくトリミングしたくないとは言ったのですが、この1枚だけは少しトリミングしています。このボケ味といい、接写能力といい、本当にマクロレンズ並みです。前ボケもとても美しいです。ピントを拡大すると見えるのですが、誰かがここに頭をぶつけたのでしょう、ニット帽の繊維らしきものが梅に付いているところも確認できます。これも手持ちですが、ピント面は緻密。本当にオールラウンドに楽しめる組み合わせです。

──GFX 50Rを使ってみての総論をお願いします。

もちろんオススメのカメラですね。手持ちでもどんどん撮れることがわかったので、秋の紅葉シーズンに持ち出すのが今から楽しみです。GF100-200mmF5.6 R LM OIS WRのような高性能レンズが、フルサイズ機向けのいわゆる「大三元」などよりもリーズナブルというのも驚き。積極的に使っていこうと思います。

さんの写真

東京カメラ部10選2015

北川力三 Rikizo Kitagawa

1972年、三重県に生まれる。社会人になって始めたサーフィンの時に見る美しい海や空に魅了され写真を始める。好きな被写体は花風景で、主な受賞歴は、東京カメラ部10選 / Nisi 桜フォトコンテストグランプリ他 日本政府観光PR、NTTぷららフォトコンテスト審査員など。

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GFX 50R

FUJIFILM GFX 50R

最薄部46㎜・質量775gの小型軽量化を実現したレンジファインダースタイルの中判ミラーレスデジタルカメラ

画質を最重要視し、中判フィルムカメラを開発・製造し続けてきた富士フイルム。その歴史の中で培われてきたレンジファインダーを彷彿させるスタイルで生まれ変わった「GFX 50R」。新たなGFXシステムの可能性を担う、往年の中判フィルムカメラのような高画質と機動性の両立を実現しました。小型・軽量を追求した775gの軽量ボディが日常の一瞬やストリートスナップなどを高画質で記録していきます。

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