FUJIFILM GFX 50R HANDS ON|富士フイルム×東京カメラ部

Vol.4

東京カメラ部10選2018 Sallu × FUJIFILM GFX 50R

写真家としてポートレートを中心に撮影しながら俳優としての顔を持つSalluさん。その経歴を活かし、俳優仲間、アーティスト、アスリートなどをモデルに映画のワンシーンのような個性的なポートレートを撮影している。普段からXシリーズを愛用し、フィルムシミュレーションの色再現性や階調性などにも精通しているSalluさんから見たGFX 50Rの魅力を伺った。

Interview Vol.4 Sallu

モデル: 髙橋さくら

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

──中判デジタルには興味があったのですか?

今回のモニターのお話しをいただく直前に、ちょうど知人とGFXシリーズの話しで盛り上がったばかりだったんです。他のカメラの発売とは別軸のサイクルなので、高価であっても安心して長く使えるGFXシリーズを持つのは手だよね、と。また、僕は中判フィルムカメラが全盛だった1960〜70年代の写真が好きなので、細部まで捉えてくれるラージフォーマットのミラーレスカメラを使うことで「味」が出るのでは、という考えもありました。鮮明に写るということでなく、空気感まで写し撮ることができれば、「味」に繋がるんじゃないか、と。

Interview Vol.4 Sallu

──Salluさんのポートレートの特徴を教えてください。

被写体と空間の両立、そして、「誰が撮ったんですか?」と聞かれるのではなく、「写っているのは誰ですか?」と聞かれるような写真を撮ることです。被写体の内面・外見含めて魅力が出ればいいなと思っています。僕自身が被写体をしていたので、「良い写真」の定義は撮る側と撮られる側で違うと感じています。いまは俳優養成所で教えてもいるのですが、オーディションで通る写真というのは存在感の有無だと思うんですね。オーディションで使う写真はいわゆる宣材写真なので作品的なポートレートとは異なりますが、そんな僕自身の立場と経験を通じて、作風が完成していったと思います。演出写真に近い感覚でロケ地を決めますが、それも被写体の空気感に合う場所を選びます。

Interview Vol.4 Sallu

モデル: 小柴カリン

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

──それでは写真を見ながらお話しを伺っていきます。

黒バックを作ってストロボを当てたように見えますが、マンションの駐輪場で蛍光灯の光で撮っています。雰囲気のある女性で、まるで『ドラゴン・タトゥーの女』みたいですよね。この雰囲気とロケ地がマッチしています。モノクロでの撮影も一瞬頭をよぎりましたが、洋服がビビッドだったのであえてフィルムシミュレーションを「クラシッククローム」で撮りました。今回はほぼJPEG撮って出し。RAWで撮っておき、カメラ内RAW現像を行ったもの、カメラの画像処理エンジンを使う「FUJIFILM X RAW STUDIO」で処理をしたものもあります。「カラークロームエフェクト」は彩度の高い色が入っている場合にはオンは良いと思います。効果はてきめんですね。

Interview Vol.4 Sallu

モデル: 小柴カリン

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

彼女の雰囲気から、レジスタンスみたいな世界観が似合いそうだと考えて、朝一番で海に行き撮影しました。昔のファッションフォトは中判フィルムカメラで撮られているものが多いのですが、今回はそのファッションフォト的なイメージを自分の中に取り込み、ラージフォーマットのミラーレスカメラではどのような見え方をするだろうと試しながら撮影した側面もあります。GFX 50Rを手にして撮った最初の1枚から感じたことですが、明らかに描写が抜群で、明らかに何かが違う、という感覚に囚われました。

Interview Vol.4 Sallu

モデル: 小柴カリン

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

ドラマチックに撮りやすい朝夕のマジックアワーではない、日中晴天での撮影は質感表現が難しいです。そんな条件でどこまでの質感が出るのか気になり、あえてチャレンジしてみました。これも往年のファッションフォト的に、ポツンと佇んでいるような写真に。真正面から太陽の日射しを受けているのに、ひとつの世界観が表現されていると僕は感じました。これは少し大変な撮影で、波を避けながら瞬間的に撮っています。手ブレ補正のないシステムでしたが、ある意味、被写体や自分の技術に真摯に向き合う時間になりましたね。

Interview Vol.4 Sallu

モデル: 小柴カリン

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

この透明のコートを5年前に購入し、いつか何かに使いたいと(笑)。静と動を組み合わせようと思い、ピンポン玉を投げて撮影をしています。シャッターダイヤル横のFnボタンにセルフタイマーを割り当て、10秒セルフタイマーでタイミングを合わせて投げるというのを何度も繰り返しました。クリップオンストロボを2灯使っています。白ばかりの空間に白い衣装に白髪、そして白いピンポン玉。さまざまな白が同一化せず、しっかり存在感を持って写ってくれました。ピンポン玉を拾うのが大変で、1枚撮るのに3〜4分かかりましたね。

Interview Vol.4 Sallu

モデル: 古川ヒロシ

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

アフリカの貧しい町で、収入のほとんどをファッションに使い、オシャレをして平和をアピールする「サプール」という方々がいるんです。僕は昔からその考えに興味があり、その人たちと同じように平和を願う気持ちと、被写体となってくれた俳優の持っている雰囲気をミックスさせてみました。横構図で撮ったものを縦にトリミングしていますが、等倍で見ても克明に情報が残っており驚かされました。このディテール描写の積み重ねが、GFX 50Rで撮った写真ならではの「違い」に繋がるのでしょうね。トリミングすることの多いプロでも安心のデータだと感じました。

Interview Vol.4 Sallu

モデル: 古川ヒロシ

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

帰り際、車に乗ろうとした瞬間に夕焼けが美しく咄嗟に撮った1枚です。GFX 50RはX-E3をそのまま大きくしたようなデザイン。比較すると段違いに大きいですが、持ちやすさもあるために手持ち撮影が楽にできるカメラだと思います。まさにこの1枚はX-E3感覚で撮った典型。シャッタースピードを稼ぐために感度を上げていますが、緻密で滑らかです。そしてGF110mmF2 R LM WRのボケ味と立体感は素晴らしいですね。

Interview Vol.4 Sallu

モデル: 村中暖奈

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

GFX 50Rの防塵・防滴構造が役に立った撮影現場でした。千葉の海岸なのですが、この日は尋常じゃないくらい風が吹いていて、三脚も立てられないレベルでした。直前までカメラを隠していてバッと出して撮るという感じ。GFX 50RとGF110mmF2 R LM WRの組み合わせの凄さは、ボケの中の質感描写。曖昧でありながら質感があり、ピントが合っている部分と同じような情報量とディテールがあるように感じるのです。これはいわゆるボケの美しさからきているものなのかもしれません。

Interview Vol.4 Sallu

モデル: 村中暖奈

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

まさにポートレートという写真で、作品性よりも、いわゆる宣材写真のようなイメージで撮っています。肌の質感が驚くほど出ていますよね。少しだけ絞っているのですが、これ以上絞ってしまうと写りすぎてしまうと感じF2.5で留めました。下まつげの産毛の本数も数えられるくらい写っています。ボケの美しさは素晴らしく、急激にボケていくというようなことはなく、あらゆるポイントでなだらかさを維持しています。この写真は「クラシッククローム」ではなく「PROVIA」にし、シャドウとハイライトを共にマイナスにしています。これは「FUJIFILM X RAW STUDIO」で作業をしましたが、数値をオーバーマウスすればすぐに効果が反映されるくらいの処理スピードで、またインターフェースもわかりやすくストレスはありません。僕はフィルムシミュレーションの色がとにかく好きで、現像ソフトなどで現像をしても撮って出しの持つ色には負けてしまうことがあったのと、レタッチしすぎるのであれば富士フイルムのカメラを使う意味はなくなるなと思い、カメラ内RAW現像と「FUJIFILM X RAW STUDIO」をメインに使うように切り替えました。

Interview Vol.4 Sallu

モデル: 村中暖奈

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

弱い地灯りだけで撮っていますが、階調性が素晴らしく、暗い中でもディテールはしっかりと浮き上がってきます。肌も柔らかくキレイ。嫌みのない立体感はGFX 50Rの特徴で、どの写真も品格が一段上の写真に見える気がしました。

Interview Vol.4 Sallu

モデル: 村中暖奈

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

ナチュラルに、シンプルに撮っています。作品性よりも雑誌のポートレートなどで求められるような1枚を意識しました。凝った作品的な写真はもちろん、仕事として求められる写真も上質なものになります。ここまでの性能があれば、1台でいかようにもなりますね。

Interview Vol.4 Sallu

モデル: 髙橋さくら

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

仏像写真のようなものを撮ろうと思い、ストロボを使ったロケをしていたところ、ストロボのビューティーディッシュがまるで満月のようになり、ススキと衣装にマッチしてお月見のようになりました。逆光となり彼女は暗くなってしまいますが、じっくりと見るとターコイズのピアスまでハッキリと写っています。素晴らしいダイナミックレンジの広さですよね。夜のように見えて空が青いところなども不思議な雰囲気となり気に入っています。

Interview Vol.4 Sallu

使用機材: FUJIFILM GFX 50R
+ GF110mmF2 R LM WR

ボケのやわらかさと滑らかさがいいですよね。曇天でしたがシャドウをさらに−2にまで下げて撮っています。ピント面に向けてのボケの連続性が本当にすごい。髪の毛の解像感も驚きます。ここまでの距離感の場合は細部までかなりしっかりと写るので、肌のレタッチはかかせないですね。開放付近を使って肌をボケさせていくという工夫や、メイクにも気を遣います。これは高描写ゆえですね。

Interview Vol.4 Sallu

──最後に、GFX 50Rを使ってみての総論をお願いします。

ラージフォーマットのミラーレスカメラは、ここぞ、という場面で使うイメージがありましたが、GFX 50Rは普段使いができる取り回し安さを感じました。それでいながら、被写体の存在感を引き立ててくれます。無駄なレタッチや加工をしなくても、シンプルにしっかりと撮ることで作品の質を高めてくれるんです。想像をしていた通り、ラージフォーマットのミラーレスカメラの高画質は、デジタル写真を別の次元へと押し上げてくれる存在だと感じました。ミニマルでシンプルなデザインも大のお気に入りです。

さんの写真

東京カメラ部10選2018

Sallu

アートディレクター兼モデルとして写真作品制作に携わったことで、写真と出会う。海外移住をきっかけに独学で撮影を始め、日本帰国後、俳優、芸術家、スポーツ選手等、人物撮影及び広告撮影を中心に活動。

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GFX 50R

FUJIFILM GFX 50R

最薄部46㎜・質量775gの小型軽量化を実現したレンジファインダースタイルの中判ミラーレスデジタルカメラ

画質を最重要視し、中判フィルムカメラを開発・製造し続けてきた富士フイルム。その歴史の中で培われてきたレンジファインダーを彷彿させるスタイルで生まれ変わった「GFX 50R」。新たなGFXシステムの可能性を担う、往年の中判フィルムカメラのような高画質と機動性の両立を実現しました。小型・軽量を追求した775gの軽量ボディが日常の一瞬やストリートスナップなどを高画質で記録していきます。

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