FUJIFILM X-E3 HANDS ON

Vol.1

東京カメラ部10選2016 高橋伸哉 × FUJIFILM X-E3

ファインダー付きのXシリーズの中では最小・最軽量のX-E3。画質はフラッグシップ機と同等でありながら、コストパフォーマンスと利便性に優れている。ポートレート、スナップ、風景などをXシリーズで撮影している高橋伸哉さんに、X-E3を使ってみての感想を聞いた。

Interview Vol.1 高橋伸哉

──Xシリーズをメインで使うようになった経緯を教えてください。

もともとはフィルムカメラで撮影を楽しんでおり、サブでコンパクトデジタル機を使っていました。でも、デジタルも進化してきているので、そろそろフルサイズ機が欲しいなと思い探しにいったところ、X-Pro2のフォルムに惚れ込んでしまったんです。直感的な選び方でしたが大正解でした。僕は日が沈みゆく時間帯に撮ることも多いのですが、X-Pro2は狙い通りの素晴らしい色を叩き出してくれるんです。

──写真の色が良いということは、JPEG撮って出しの状態で楽しむということもあるのですか?

LightroomやVSCOでレタッチをしたりノイズを入れることはありますが、JPEGの時点で色は完成していることが多々あります。フィルムシミュレーションはPROVIA/スタンダードで、昨年東京カメラ部10選に選ばれた写真はJPEG撮って出しでした。僕はフィルムが基本にあります。今までフィルムで培って馴染んだ色や経験を活かし、デジタルでも違和感なく撮影できるのがXシリーズでした。過度に色をいじるのではなく、Xシリーズならではの色があります。だから撮影していて心地よいです。

──X-Pro2と比べるとX-E3は小型・軽量です。手にしてみての第一印象は?

スナップを撮るのに向いていますよね。僕はフィルムカメラも持ち歩くので小さいのはとても楽です。このサイズ感でありながら、ファインダーがちゃんと付いているところが重要。タッチパネル式の背面液晶は便利ですが、やはり覗いて撮る方が没入感があり好きなんです。

──SRオートが付いており、フルオート撮影に瞬時に切り替えられます。

普段はマニュアル露出で撮影していて、ある程度露出を決めておき、あとはファインダーを覗きながら絞りとシャッタースピードを調整して適正露出にしています。この手順に慣れてはいるものの、SRオートを使うとその楽さに驚きますね。露出を追い込んで撮影したときはマニュアルがいいですが、明るさが安定している昼間の撮影ではSRオートで十分ですし、スナップのようにバンバン撮りたいときには最適だと思います。

Interview Vol.1 高橋伸哉

──X-E3にお使いになったレンズは?

XF23mmF2 R WRとXF35mmF1.4 Rの2本です。コンパクトなXF23mmF2 R WRのマッチングはとても良いと思います。他にもXF90mmF2 R LM WR、XF10-24mmF4 R OIS、XF16-55mmF2.8 R LM WRを使っていますが、基本は最初に買ったXF35mmF1.4 R。使い方が荒いので、かなり年季が入ってきています。

Interview Vol.1 高橋伸哉

──ここからは作品を見ながらお話を伺っていきます。まず、とても迫力のある景色の中での1枚から。

色味といい奥の山々の描写といい、素晴らしいです。ほとんど現像時にいじっていないけどすごくきれいですよね。レンズはXF23mmF2 R WRで、こんなにコンパクトなシステムでこんなに雄大な景色美しく撮れるというのは、もうカメラのサイズなど関係ないなと思わせてくれる1枚です。

──画面の中に明部暗部が混在していますがDRの設定は?

おそらくDR200だと思います。あまり設定に囚われた撮影をしたくないので、カメラの設定のほとんどは初期状態のままです。アンダーに撮って現像時に救うという方法も好きではなく、撮影時の露出には気を配ります。撮って出しでも使えるようになるし、現像をするときもその方が楽ですからね。

Interview Vol.1 高橋伸哉 Interview Vol.1 高橋伸哉

──続いては夕刻のスナップポートレートです。構図違いのものが2枚あります。

僕は欲張りなので、撮影時は横で撮影をし、後から縦にトリミングをすることも多いんです。でも、プリントをするときは横のままでします。いまはデータサイズに余裕がありますから、どちらでも使えるように撮影することが増えましたね。縦にトリミングをするなら1枚目、横のままプリントをするなら2枚目が好みです。ちなみに写真展をするときは必ずディープマットを使います。デジタルで撮っていても色が沈むので、フィルムのような仕上がりになるのが好きなんです。

Interview Vol.1 高橋伸哉

──川をバックにしたポートレートです。背景の水面の色が美しいですね。

これこそ、僕がXシリーズを好きな理由。ほとんどレタッチをしていないのに、この色が出る。これは淀川ですが、あまりキレイじゃない淀川でも、太陽が落ちる時間帯のマジックアワーの色の写り込みを活かせば、美しい写真になります。X-E3を使えば、素晴らしい色で撮れるのがわかっていました。すごく気持ち良さそうな1枚に仕上がりましたね。

Interview Vol.1 高橋伸哉 Interview Vol.1 高橋伸哉 Interview Vol.1 高橋伸哉

──ここからはスナップです。

飲み屋街での撮影などは、小さなX-E3はとても楽ですね。常にカメラを持ち歩けるのでどんな瞬間も逃しません。瞬間を撮ることに長けていつつ、レンズの性能と描写力もあるのでボケ味も美しいです。こういう日常的な写真を残すことも大切に感じていますし、若い子たちのあいだでも人気が出てきていますよね。コンパクトなX-E3で日常をたくさん残していくのは、とても有効だと思います。

Interview Vol.1 高橋伸哉

──風景写真もありますね。

最近はスナップやポートレートだけじゃなく、風景写真にも興味が出てきているんです。三脚は使わずにポートレートと変わらない意識で撮るようにしています。

Interview Vol.1 高橋伸哉

──赤い傘と赤い鉄橋が印象的です。

雨予報だったので、どうせ傘を持ってくるのならば赤がいいとリクエストしました(笑)。ほとんど色味はいじっていません。逆に雨の雰囲気を出すために彩度を少し下げているくらいです。

Interview Vol.1 高橋伸哉

──高橋さんはインスタグラムのフォロワー数がとても多く、SNSと写真活動の連動をうまく行っています。インスタグラムをやっている人にアドバイスをお願いします。

毎日撮り続けること。とにかく何かしらアップするのが大事だと思います。「いいね」が付かないのはクオリティーの問題なので自分の腕を上げるだけのことですが、人は他人のことにさほど興味がないはずなので、「この人は今日何をアップするんだろう」という期待感を常に持たせ続けることが大切だと思います。でも、同じような写真ばかりだと飽きられてしまう。異なるテイストの写真を織り交ぜる工夫も必要です。でも基本は継続は力なり、です。

──X-Pro2とX-E3の棲み分けはどうなりそうでしょう。

やはり小ささを活かしたスナップの分野でX-E3は強いと思います。片手でサクサクと撮ることができるのに、Xならではの色で撮れるというのは強みです。僕はX-Pro2をすでに所持していましたが、これからXシリーズの購入を検討しているならば、X-E3にして差額でレンズを1本購入するというのもオススメです。

──たしかにX-Pro2との価格差でレンズが買えますね。あと、高橋さんのようにフィルムカメラを慣れ親しんできた方にもX-E3はおすすめできると思います。

やはり主要な露出設定がダイヤル操作でできるという点は馴染みやすいですし、何よりもフィルムで撮った写真とXで撮った写真に差が少ないというもの魅力です。僕のインスタグラムはフィルムとデジタルが混ざっていますが、違和感がほとんどないんです。まさにいま、僕の中ではフィルムからデジタルに主役が取って代わったというタイミング。20年以上に渡って慣れ親しんできたフィルムでの撮影が、Xシリーズを手にしたことによって休憩できるようになったんです。

高橋伸哉さんの写真

東京カメラ部 10選 2016

高橋伸哉 Shinya Takahashi

フィルムもデジタルもこよなく愛する写真人
X-Pro2を手にしてからも基本マニュアルで撮影してデジタル現像で自分色を作り上げる。
共同執筆の「ドラマチック写真術」は技術本としては大好評で12000部を発行。
来年の3月にはインプレスから共同執筆による新刊(仮)「ポートレート写真術」を発売。
Instagramは総数としては30万フォロワーとなり、国内外問わず写真の仕事の幅が広がりつつある

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