FUJIFILM X-E3 HANDS ON

Vol.6

東京カメラ部10選2015 八木進 × FUJIFILM X-E3

閉館する予定となっていた実家の映画館をカメラで記録した写真展「CINEMA PARFUM」をFUJIFILM SQUAREで開催するなど、Xシリーズを使いノスタルジックな作品を撮り続けている八木進さん。カメラのスタイルにもこだわりたいという八木さんの目にX-E3はどのように映ったのだろう。X-E3の使用感を伺った。

Interview Vol.6 八木進

──Xシリーズを愛用するようになった経緯を教えてください。

もともとはMFレンズをミラーレスに付けて撮影をしていたのですが、AFレンズを使い撮影をしていこうと思い立ったとき、X100Tに決めたんです。東京カメラ部の写真展やインターネットを通じて知り合った写真好きの多くがX100シリーズを使っていたというのと、僕自身がレンジファインダースタイルのデザインが好きなので、X100シリーズ、X-Eシリーズ、X-Proシリーズ、つまり富士フイルムのXシリーズだけが候補に残りました。僕は35mm判換算で35mmか50mmしか使わないので、それならばレンズの描写にやわらかさがあるX100Tにしようと思ったんです。でも、今回XF18-55mmを使い、ズームレンズでもこんなに映るのかと驚きました。僕が持っていたキットズームのイメージを覆すほどの高性能。ボケ味をあまり必要としない撮影スタイルなので、単焦点レンズを数本持つという感覚として使えるほどだと感じました。

──今回の作品はカラーと白黒の両方がありますが、フィルムシミュレーションは何をお使いでしょうか。

白黒はアクロスを使っています。X100Tには搭載されていないので、X-E3で使うのをとても楽しみにしていたんです。乾いていないというか、しっとりとした質感のある白黒でとても気に入りました。カラーはRAWで撮ったものをパソコンに保存したのち、RAW現像ソフトでクラシッククロームを適用しています。クラシッククロームは常にファーストチョイスで、彩度が低く沈み込むような色合いにも関わらず、後から単純に色を抜いたようなものとは全く異なる点が大好きです。知人の子供を撮り、データをあげるというようなときにはスタンダードなPROVIAを使います。

──カメラのその他の設定を教えてください。

AFモードはAF-S、フォーカスエリアはシングルポイントで、AFポイントは基本的に中心にしており構図によってはフォーカスレバーで移動をさせています。露出モードは絞り優先AE、感度はオートでISO12800を上限にしています。アクロスは高感度撮影時の粒状感が美しいため、それが出現すると言われるISO800以上になるように敢えて設定することもあります。日中の撮影でも電子シャッターを併用すればISO800以上にしていても露出オーバーになることはありません。後から粒子を乗せるようなレタッチをすることもあるくらいなので、アクロスの高感度時の描写傾向はすごく好みですね。

Interview Vol.6 八木進

──ここからは写真を見ながらお話しを伺いたいと思います。撮影場所はどこでしょう。

地元・長崎県の九州最後の炭坑の島と呼ばれる池島で撮影しています。廃墟ではなく生活している方もたくさんいらっしゃいます。人気のない場所を撮るにはクラシッククロームは最適ですね。この木とアパートの写真はまさに狙い通りの1枚。緑、空、建物、この3つを思い通りに出すようにレタッチするのはとても難しいことですが、クラシッククロームならば簡単に出してくれます。自分の理想的な色が出ていますね。

Interview Vol.6 八木進

池島には頻繁に行くようにしていますが、1年で風景が変わっていきます。この写真にある看板も、1年前までは「御安全に」と書かれていて、炭坑夫が通る通路だということがわかったんですが、いまでは消えてしまっています。そのように移り変わるものを撮っていくのは好きです。

Interview Vol.6 八木進 Interview Vol.6 八木進

X-E3に搭載されているタッチAFとタッチシャッターで撮影した写真です。X100Tには付いていない機能なので初めて使いましたが、ローアングルからの撮影はとてもやりやすいですね。EVFを使うこともありますが、ほとんどは背面液晶を見て撮影しています。

Interview Vol.6 八木進

これはXF18-55mmの広角端で撮影をしています。単焦点レンズに遜色ない描写力で、ズームレンズではあっても単焦点レンズを使っている気分でした。たぶん、ズームレンズを敬遠してきたのは見た目も重要視するという僕のこだわりが影響していると思います。カメラは首から提げるものじゃないですか。そのくらい身近な存在なので、ズームレンズよりもコンパクトな単焦点レンズにこだわっていたんです。絞りリングに目盛りがないので戸惑いましたが、開放から緻密な描写をするので驚きました。

Interview Vol.6 八木進

提出した中で、唯一望遠域で撮影した写真です。人が住んでいない家の中にポスターがあり撮りたかったのですが、廃墟となっており物理的に近づけないので望遠域を使いました。当たり前ですが画角の選択肢が増えると撮影の幅は広がりますね。

Interview Vol.6 八木進

──これはアクロスらしい質感描写です。

そう、これが液晶にそのまま写されますから興奮しますよね。アクロス+Yeフィルターにすることで、コントラストをわずかに上げるようにしています。

Interview Vol.6 八木進

これもアクロス+Yeフィルターです。このような写真は質感が命ですから、カラーではなくより質感がわかりやすいアクロスにしています。

Interview Vol.6 八木進

このように池島には人が暮らしています。この方は島の猫について教えて下さった方。さまざまな猫がくらしていますが、それぞれの生い立ちを知っていらっしゃるんです。

Interview Vol.6 八木進

──写っているのはお子さまでしょうか。

そうです。これは近所で撮影をしています。遊ばせていたら石を投げはじめたので、石が空中にある瞬間を狙って撮影をしました。子供と石だけでなく、奥の山や雲も写したいと思っていました。やはり個人的に豊かすぎるボケは必要ないですね。よくセンサーサイズの話題も出ますが、僕にとっては充分すぎるほど緻密に描写されています。

Interview Vol.6 八木進

これも近所です。日本でもっとも満ち引きの差が激しい場所で、このときは大潮だったので警察も出動していました。ISO10000を超える高感度撮影ですが、高感度ノイズを含めた描写面では何の問題もありません。このような夕景も、ファインダーで露出やフィルムシミュレーションの高価を確認しながら撮れるので、狙い通りの明るさと発色で撮ることができます。目で見ているよりもキレイかもしれません。

Interview Vol.6 八木進

──X-E3を今後どのように使っていきたいですか?

アクロスを使うことができるセンサーと画像処理エンジンの世代の機種にグレードアップを考えています。X100Fにグレードアップするものいいかなと思っていましたが、レンズ交換式のXは想像以上に便利ですね。今回はズームレンズの広角端の使用頻度がとても高かったので、X-E3にXF18mmF2 Rなどの組み合わせで使ってみたいです。スタイル的にもとてもカッコイイでしょうね。

八木進さんの写真

東京カメラ部10選2015

八木進 Susumu Yagi

当時5歳の息子の写真を撮るためにカメラを購入。当時経営していた閉館予定の映画館の記録をしたいと思いインターネットでカメラの勉強をしていた時に出会った友人たちに影響され、自己表現の方法として写真を撮るようになる。
2017年フジフフイルムスクエアにて個展開催

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