FUJIFILM X-E3 HANDS ON

Vol.8

東京カメラ部10選2016 和-KAZU × FUJIFILM X-E3

地元である長崎県の九十九島を中心に、ドラマチックな夕景をメインに撮影している和-KAZUさん。Xならではの色と機動力に加えて、アドバンストSRオートやBluetoothによるワイヤレス通信など、X-E3ならではの機能と夕景写真の親和性について伺った。

Interview Vol.8 和-KAZU

──Xシリーズとの出会いは?

X-T10発売時にモニターに応募して試させていただき、その後にX-T1を購入していまも使い続けています。X-T10を使ったとき、まずJPEGの画質の素晴らしさに驚きました。そして、Xを手にしていると明らかにシャッター数が増えることに気付いたんです。夕景は三脚を使って撮るため僕はスナップが苦手だという意識があったんですね。でも、Xならば普段は撮らない何気ない瞬間もたくさん撮影している。シャッターを押したくなるんです。X-E3はコンパクトさに磨きがかかり、常に首からさげていても疲れないですし、ファッションにも馴染むデザイン性の高さもあり、さらに身近な存在になったという感覚です。

──今回は現像をした写真とJPEG撮って出しの写真の両方を提出していただきました。

JPEG撮って出しのものは、ほとんどをPROVIAで撮影しています。知人にもX好きは多いですが、フィルム時代から富士フイルムの色が好きで、そこからは離れられないと話しています。そういう姿を見ていると、富士フイルムは歴史を大切に考えてカメラ開発をしているのだなと痛感しますし、僕自身も実際にJPEG画質に絶大な信頼を寄せていますね。夕景はきつい逆光のことが多いため、できる限り階調が残る設定にしており、シャドウとハイライトはマイナス設定に、DRも200%や400%にしています。可能な限りカメラの設定だけで目指す仕上がりに近づけることで、撮影にだけ集中することができるんです。つまり、現像をした写真は撮影時に納得して撮ったものの、あとからモニターで見直した結果、少し手を加えたいと思ったものたち。RAWからではなくJPEGを現像ソフトで読み込み、ハイライトとシャドウを微調整している程度で、色味はほとんど変えていません。

──使用しているレンズは?

XF18-55mmF2.8-4 R LM OISがメインです。単焦点レンズも持って出ることがありましたが、あまりにも優秀かつ便利なのでほとんどこれ1本で済んでしまいます。その場の雰囲気や空気感をそのまま持って帰ってくれるようなレンズ。僕は九十九島の美しい夕陽が好きで、それを純粋に残したいと思い写真をはじめました。心が動いた風景を、シャッターを切るだけで残せるのは素晴らしいことだと思います。

Interview Vol.8 和-KAZU

──写真を見ながらお話しを伺っていきます。こちらが九十九島でしょうか。

そうです。とにかく九十九島の夕景が好きで、写真を撮りに通うようになったんです。船越展望所というところで、島の後ろに夕日が沈んでいくところが絶品。沈むと三日月が現れるんです。穏やかな時間を表現することができたお気に入りの1枚ですね。

Interview Vol.8 和-KAZU

──アドバンストSRオートは使用しましたか?

X-T1では絞り優先AEで撮りますが、X-E3ではかなりの割合をアドバンストSRオートで撮影しました。手前の人物は暗く撮れており、このシーンでは夕焼けを撮りたいということをカメラがしっかりと判断している露出になっています。とても優秀なオートモードだと感じました。

Interview Vol.8 和-KAZU

これはバルーンフェスタに出掛けたときです。もちろん、バルーンを撮ることが目的でしたが、バルーンを待つ間や移動中にも撮る気分にさせてくれました。主役を撮っていないときにだってストーリーはありますよね。気になったときにサッと撮ることができ、撮影の行程のストーリーを残せるのが小型軽量のX-E3の魅力のひとつだと思います。

Interview Vol.8 和-KAZU

まさにスナップ気分で撮っていて、X-E3でなければ撮ろうと思わないモチーフです。耳の形をした影がかわいいですよね。このような撮影では背面液晶モニター+タッチAFなども使いました。個人的にはフォーカスレバーでのフォーカスポイント変更の方が操作しやすいですが、スマホ世代の人には馴染みやすいでしょうね。ここぞ、という撮影ではやはりファインダーを覗きます。この小さなボディにここまで見えの良いファインダーが付いていることに驚きます。ファインダーを覗きながら、どうやって撮る?露出はどうする?など自分自身に語りかけながら撮影するのは本当に楽しいです。

Interview Vol.8 和-KAZU

──暗くなってからの写真もあります。ISOは上限どのくらいに設定しますか?

基本はISO800で抑えるようにしています。どうしてもというときはISO1600にしますが、それでも高感度ノイズはほとんど気になりません。

Interview Vol.8 和-KAZU

手ブレが気になるくらいのシャッタースピードになったときは、スマホでシャッターを切っています。これはオススメの撮影方法で、カメラ本体のレリーズボタンを使うよりもブレの危険性は確実に減ります。僕は1/10秒くらいまではこの方法で手持ち撮影をしますね。X-E3はBluetoothによるワイヤレス通信なので、接続はスピーディーだし安定しています。写っているのは僕の子供たちなんですが、三脚を組み立てていたらきっとどっかに行ってしまっているでしょう。ちなみに、スマホに画像を転送し、SNSへ共有する頻度も明らかに増えました。

Interview Vol.8 和-KAZU

これはお正月に和歌山県で撮りました。凄まじい逆光のためゴーストが出ていますが、逆にこの写真ではゴーストがある方がドラマチックだと思います。

Interview Vol.8 和-KAZU

突然、このようなドラマチックな雲が出現したため、かなり慌てて撮影をしたのですが、それでもこんなにキレイに撮ってくれます。しっかりと狙って撮ったかのように見える写真も多いですが、全てスナップの延長のように瞬間的に撮影したものばかりです。

Interview Vol.8 和-KAZU

一瞬だけ太陽が出た瞬間を撮っています。かなり暗い時間帯でしたが、しっかりと雲のディテールと立体感が出ていますよね。

Interview Vol.8 和-KAZU

かなり赤く焼けています。このような色味もきつくなりすぎず、淡くなりすぎずに好ましく出ていますね。これも九十九島で家から10分ほどで行ける場所。夕方になると、今日はどんな夕焼けが出るだろうと気になって仕方ありません。

Interview Vol.8 和-KAZU

──ここからはレタッチをした写真です。

電車が通る橋とバスが通る橋のふたつがある場所。これも家から15分くらいの近所です。海がキラキラと光輝いており、バスが通るまで粘りました。色味は変えていませんが、もう少しだけドラマチックな明暗差を出したいと思いレタッチしています。バスのガラスの色がキレイで、そこがちゃんと見えるといいなと思って撮りましたが、JPEGの時点で意図した通りに出ていて嬉しかったです。

Interview Vol.8 和-KAZU Interview Vol.8 和-KAZU

──こちらは一転してHDR調です。

シャドウ部も出してみようと思い、かなり持ち上げています。JPEGからでもここまで情報量が残っているのはすごいですよね。またJPEGだからこその色の派手さもあると思います。RAWであればもっとナチュラル。肉眼で見たイメージに近い色はJPEGの方なんです。夜景の方はスマホでリモート撮影をしています。

Interview Vol.8 和-KAZU

これは唯一、三脚をしっかりと使い撮影しています。スマホを使ったリモート撮影で30秒の長秒撮影です。海への写り込みがキレイですよね。三脚だけを持っていけば、ここまでの写真が撮れるのは素晴らしいです。長時間露光をすると、どうしても光が強く入る箇所があるので、そこを抑えたり、逆に写り込みを少し鮮明にするなどの調整をしました。

Interview Vol.8 和-KAZU

──X-E3をしばらく使用してみて、最新機種ならではの使いやすさを感じましたか?

今回は子供たちが写っている写真も提出させていただきましたが、大きなカメラで撮るよりも自然で違和感のない写真を撮ることができると感じました。僕は夕景を撮る前は子供を撮っていたんです。家族で出掛けるようなときにも気軽に持ち出すことができ、子供の自然な表情も美しい夕景も両方撮ることができるのはありがたいですね。あと、僕は動画も撮影するのですが、Xシリーズではさほど動画を撮っておらず、X-E3は4Kにも対応していますし、フィルムシミュレーションの色味で動画を撮ることもできますから、一度動画にもきちんと取り組んでみたいですね。

和-KAZUさんの写真

東京カメラ部10選2016

和-KAZU

佐世保観光名誉大使として任命を受ける長崎県佐世保市在住のミュージシャン。5年前に家族写真撮影目的で購入した一眼レフをきっかけに、佐世保市九十九島の夕景に魅了され撮影に没頭する。東京カメラ部10選2016選出を機に写真家としての活動を本格化。各企業、観光ポスターやパンフレット等の表紙を担当。現在写真のみならずドローン空撮や一眼レフで撮影する映像制作など精力的に行っている。

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